食物繊維について
1. 食物繊維は足りているか
食物繊維が私たちの健康度を大きく左右する必須栄養素の1つであるにもかかわらず、日本人はなべて摂取不足なのです。食物繊維の摂取基準は20g/日で、理想は24g/日とされています。
いっぽう日本人の平均摂取量が14g/日ですので、ほとんどの人は、理想摂取量はおろか基準摂取量をも満たしていないのが現状です。
食物繊維が不足すると糖尿病や大腸がんなどさまざまな慢性疾患のリスクが高まることはよくわかっていますが(特に摂取量が12g/日を下回ると著明にリスクが高まる)、いっぽうで、摂取量が24g/日を上回ると、心筋梗塞をはじめさまざまな疾病リスク有意に低下することもよくわかっています。
2. 食物繊維は意外に摂るのが難しい
「それじゃあ、5-10gくらい食物繊維の摂取量を増やせばいいじゃないか?」
確かにその通りなのです、増やせばいいんです。
しかし、糖質やカロリーをセーブしながら、食物繊維を確保するのは意外に至難の業なのです。ともすればカロリー過多、糖質過多になってしまいます。
「腸内環境を改善するなら乳酸菌やビフィズス菌を補えばいいじゃないか?」
かつては乳酸菌やビフィズス菌を補うことが腸内環境改善の最も有効な手段だと考えられていました。しかし外から入った乳酸菌やビフィズス菌はほとんど腸内には定着できないことが分かっていて、今は、腸内細菌の栄養(エサ)となる食物繊維やオリゴ糖を補うほうが有効であると考えられています。
3. やはり栄養保険をかけておく
他の栄養素も同じですが、基本、栄養素(微量栄養やタンパク質、食物繊維)を増やすと、糖質(カロリー)も同時に増やしてしまうことになり、結果、糖質過多になってしまったり、あるいは、糖質制限(カロリー)の妨げになってしまいます。
もちろん食物繊維を含む食材を意識して摂取するのは望ましいのですが、不溶性の食物繊維ばかりを多く摂りすぎるとかえって便秘を増悪させるおそれもあります(水溶性食物繊維は特に不足しがち)、したがって、水溶性、不溶性、ともにバランスよく摂取するためにも栄養保険の一環として食物繊維(ファイバー)もベースサプリ(水溶性、不溶性がバランスよく配合されているもの)として摂っておく(約5-10g/日)のが現実的で賢い方法だと私は考えています。
eクリニックスタッフ医師 岡本 裕
(健康情報サイト「eコメント」より)