みなさんの健康に対する意識は高く、今はまさに、自分のからだは自分で守る”セルフ治療”の時代です。
最近注目の”オプティマルヘルス”を実現しそれを保つためにも”セルフ治療”は必須と言えます。
その一方で、巷にあふれる情報に惑わされ、何が正しいのか自分で判断できない方が多いのも事実です。したがって、的確に判断できる目を養い、信頼に足る情報源を確保することが重要なポイントです。
”セルフ治療”を行っていく上で、最初に注目すべきポイントが1つあります。
そう腸内環境です。腸内環境は重要な健康のバロメーターです。
腸は自立して機能している
腸は原則として自分で考えて機能しています。腸にある神経細胞(ニューロン)の数は1億以上で、この数は脊髄全体に存在する神経細胞の数より勝っています。ある意味、腸は立派な神経器官と言ってもいいくらいなのです。
私たちの生命は、外界から物質を取り入れて維持できていますが、何を取り入れ、何を排除するかという判断は生命の根幹にかかわる極めて重要な問題です。その役割を一手に引き受けて機能しているのが腸ということになるのです。
腸管こそが最大の免疫器官である
また全身のリンパ球の約60%は腸で働いています。そして抗体の60%は腸で作られているのです。
つまり、腸は私たちの免疫を司る重要な器官でもあるのです。
実は花粉症、気管支喘息、アトピーなどのアレルギー疾患のなりやすさは腸の環境に大きく左右されることが明らかになっています。
まだ明解には証明されていませんが、がんをはじめとする慢性疾患のほとんども、おそらくは腸の環境の如何によって、その発病率や治癒率が大きく影響されているという意見もあります。
また、腸では数多くの神経細胞や、免疫細胞が機能しています。
その上、腸管内には100種類以上もの微生物が棲んでいるのです。
数にして100~300兆個、量にして1キロにもなりますが、こんなにも多くの微生物が私たちと共生しているのにはそれなりの意味があるはずでしょうし、彼らの動静が私たちに深く影響を及ぼしているに違いありません。
したがって安易に抗生物質などで腸管をずたずたにしてはいけないのです。
抗生物質によってほとんどの腸内細菌は死滅してしまいますので、心身へ及ぼす悪影響は少なくはないはずです。
腸の調子はまさに全身のバロメーターだと言っても過言ではないのです。
ただ、多くの方の腸の調子はあまりよくはないというのが現状です。
脂肪・動物タンパク質の摂り過ぎ、薬の飲み過ぎ、野菜・果物の摂取不足や、発酵食品の摂取低下が腸の機能を低下させている主な要因となっています。
それは、アレルギー、がんをはじめとして、多くの慢性疾患が増えている現状とも見事に符合します。
ものすごい腸能力の機能を適正に保つためには、もちろん食習慣を是正することが最優先なのですが、「プロバイオティクス」をうまく活用することも非常に賢明な考えだと思います。
乳酸菌飲料などのCMで「プロバイオティクス」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。実際、そのおかげで名前は流通するようになったのですが、「プロバイオティクス=乳酸菌」などという誤った認識が広まっているのも事実です。
プロバイオティクスとは、簡単に言えば腸内で活躍する有益な微生物のことですが、それだけではなく、酵素や核酸などのタンパク質、オリゴ糖や食物繊維などの「腸内細菌のエサ」 になるものまでを含めた総称です。
このプロバイオティクスは、腸内に入ると善玉腸内細菌の活性を高め、あるいはそれ自体が活動をすることで、人間の体内に有用な物質を生産することが出来ます。
特定保険用食品(トクホ)の70%近くが乳酸菌関連の整腸製品で、トクホ以外のサプリメントでも、乳酸菌関連のものが大きなウエイトを占めているのが現状です。いかにみなさんの関心が高いかを示しています。
しかし、理論的にはすばらしくても実際にすばらしいプロバイオティクスは非常に少ない、というのが実感です。
そこで、どのようなものが理想なのかを考えてみることにしました。
まず、結論から言いますと、以下の3つに注目しました。
ENM(エンザミン)
SPEx(スペックス)
乳酸球菌(Enterococcus faecalis)
注目した理由は・・・
安全性
基礎データ
実績
研究者の姿勢と人柄
e-クリニックの行った治験や実際の治療結果
次に、この3つの特長などを具体的に述べてみたいと思います。
ENM(エンザミン)
ENMとは赤澤一三博士らが開発した菌株を用いて作られた低分子ペプチドです。このENMはそれ以外にも低分子化した様々な物質を併せ持つ、興味深いプロバイオティクスです。
e-クリニックで行った治験(がん患者さんや健常者を対象に)でも優位なQOL(生活の質)の改善や代謝の改善(血行、体温)、免疫能力の是正を認められています。
すばらしいENMなのですが、1つ足りない点があります。それは免疫機能や細胞間のコミュニケーションなどに係わると言われる、オリゴ糖や菌体成分が不足していることです。
SPEX(スペックス)
発酵学者、矢ノ師正義氏が、長年発酵に携わり研鑚を重ね開発した最新のプロバイオティクス(シンバイオティクス)です。
このSPExは従来の有用微生物菌(納豆菌類)を、新たに工夫を加えた独自の培養培地で発酵させることにより産生されるプロバイオティクスで、低分子レバンオリゴ糖、ペプチド(低分子)を豊富に含みます。
有用微生物菌株を、従来よりも長期発酵、長期低温熟成させ、また純粋培養によってより増殖させ、低分子化した発酵生産物(SPEx)を多量に作らせます。このSPExには、発酵エキスだけでなく、有用微生物菌株(死菌)を含む培養残渣もすべて含まれます。実はここが1つの大きな特長なのです。つまりSPExは、プロバイオティクス(菌体そのもの)だけでなく、レバンオリゴ糖が持つプレバイオティクスに加えて、死菌や培養残渣などが含まれたシンバイオティクスです。
乳酸球菌
乳酸菌を多く摂取する人たちが元気で長生きをする、ということは周知のところですが、乳酸菌という名前の微生物(細菌)がいないことは意外に知られていません。糖類を発酵して乳酸を産生する微生物を総称して乳酸菌と呼んでいるのです。
ビフィズス菌、ラクトバチルス菌、そしてカスピ海ヨーグルトで有名なクレモリス菌も名前は違っていても同じ乳酸菌の仲間です。
その中でも、免疫賦活能力の高さに重点に置き、ある乳酸球菌(Enterococcus faecalis)の死菌に注目しています。
なぜ死菌かというと・・・
生菌を摂取したとしても大半が胃酸によって死滅する。
乳酸菌の生死は効果にほとんど影響がない。
むしろ生死の如何にかかわらず菌数によって効果が左右される。
死菌のほうが圧倒的に大量の乳酸菌を摂ることができる。
死菌では一日に必要な、兆単位の数を確保するのもそれほど難しいことはありませんが、生菌で兆の単位の乳酸菌を摂ろうとすれば10リットルくらいのヨーグルトが必要といわれています。
「ENM(エンザミン)」「SPEx(スペックス)」「乳酸菌」、この3つを合わせたものはベストミックスと考えています。
目下のところ史上最強のプロバイオティクスということもできるかと思いますが、より正確に表現するとすればプロバイオティクスをはるかに越えたものではないかと自負しています。
私は、このベストミックスを「複合プロバイオティクス」としてご紹介させていただいていますが、我々のパイロットスタディ(表参照)では以下の効果を確認しています。
便秘の改善や食欲不振の解消
体温の上昇
白血球数の上昇
リンパ球数の上昇
ヘモグロビン値の上昇
このパイロットスタディでは、「複合プロバイオティクス」が、便秘や食欲不振の解消、代謝の促進、貧血の改善、免疫力の向上に効果が期待できることを示唆しました。
理由の1つとして、「複合プロバイオティクス」による、腸内環境が著明に改善されたことで、便秘や食欲不振が解消され、結果全身の栄養が向上したためと考えています。また、体温の上昇は「複合プロバイオティクス」の代謝是正の効果を示唆しています。ちなみに別のパイロットスタディでは、軟便(下痢)傾向のある方は、その症状の改善を確認しています。
<白血球数>
<リンパ球数>
<ヘモグロビン>
<体温>
<便秘の症状の変化>