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腸内の鍵を握る能力未知菌

一般に腸内細菌「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」と分類されてきました。
しかし近年このように分類することが難しいことが判ってきています。

例えば、悪玉菌とされている大腸菌は、腸内環境を悪化させたり、病気の原因になる可能性もありますが、病原性細菌の感染を防いだり、免疫を高める働きも確認されています。

こうなると悪玉菌もときには有益であることが判ります。
そして新しい分類として今までの善玉菌に新たに発見された菌などを加え、腸内バランスを整えてくれる菌の総称を「バランス調整菌」

悪玉菌を再分類し、お腹のバランスを崩す菌の総称として「バランス撹乱菌」。
菌として存在は明らかなもののどちらにも分類されていない菌を「能力未知菌」に分類されます。

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この「能力未知菌」を「バランス調整菌」と協調させる腸内環境作りが大切で、良好な腸内環境というのは、腸内細菌のバランスと多様性が重要であると考えられています。

参考
テキストBook「栄養保険」(プロバイオティックスとプレバイオティックス)
「人の健康は腸内細菌で決まる 善玉菌と悪玉菌を科学する」
                      光岡 知足 著  発行 技術評論社
「腸内細菌の驚愕パワーとしくみ」 辨野 義己 農学博士 著 発行  C&R研究所
「腸内細菌のベストバランスが病気にならない体をつくる」
                    佐々木 淳 著 発行 KKロングセラーズ

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人体の最大の免疫器官~第二の脳~

腸は、栄養を分解・吸収し、便を排出する消化機能だけではなく、身体に入ってきた物質についての良し悪しを判別し、有害なものは体外に追い出す免疫・防御機能をも備えます。

様々なホルモンを産生し、多くの神経や血管が集中している腸の状態は全身にも影響を与え、腸内環境と健康が密接に関係しており、腸内細菌のバランスが保たれることによって免疫の仕組みが正常に働いています。

Fコラム

また、脳と腸は双方向的に情報伝達を行って、相互に作用を及ぼしあう関係にあり、腸は第二の脳とも呼ばれます。

脳(中枢神経系)と腸管の関連を「腸脳相関」と呼び、脳内の神経伝達物質である「ドーパミン」や「セロトニン」は腸で作られており、密接な関係にあることが知られています。

近年、この腸脳相関の新たな要因として、腸内フローラが関わっていることが明らかになってきています。

参考;C&R研究所「腸内細菌の驚愕パワーとしくみ」辨野 義己
BLUEBACKS 「からだの中の外界 腸のふしぎ」上野川修一
   HEALTHIST242「脳と腸の密接な関係」須藤信行

 

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タンパク質は足りてますか?

6. タンパク質は足りてますか?

意外と盲点なのは
年齢を重ねるごとに、お肉などの動物性タンパク質の摂取量が減るせいか、タンパク質不足になりがちです。

とある老人ホームで調べたところ、なんと半数以上の方が、タンパク質不足でした。最近は、高齢者だけでなく若い人にもタンパク質不足が増えてきています・・・ダイエット志向の影響なのか、糖質摂取が多いせいか?

タンパク質は、皮膚、筋肉、臓器、骨、血液、ホルモン、酵素など、体を構成する物質のもと(材料)になるものですので、そのタンパク質が不足してしまいますと、即、健康度の低下と直結し、風邪や肺炎はもちろんさまざまな病気になりやすくなります。

タンパク質不足

タンパク質が足りているかどうかは、「アルブミン(Alb)」値で簡単にわかります

アルブミン値

血液中には100種類を超えるタンパク質が含まれていて、アルブミンはその約67%を占めています。
アルブミン値は、栄養状態の目安をはじめ、肝臓、腎臓などの状態を把握するのに利用されています。

次回、血液検査をされた場合は一度チェックしてみてください。

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文責: 岡本 裕

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あなたの『インスリン抵抗性』は?

4. あなたの『インスリン抵抗性』は?

空腹時の血糖値などは健診などでもよく測定すると思いますが、
40歳を越えた方、あるいは若くても糖尿病家系の方は、
ぜひ『インスリン抵抗性指数』を測定してみることをお勧めします。

『インスリン抵抗性』とは文字通り、インスリンの効きにくさのことで、インスリン抵抗性が高いほど、インスリンが効かないわけですから、血糖値が高くなり、糖尿病になりやすくなると同時に、肥満、高血圧、動脈硬化も促進してしまいます。

実に、『インスリン抵抗性』が高ければ高いほど困ったことなのです。インスリン抵抗性

『インスリン抵抗性』が高いまま放っておくと、高くなった血糖値を下げようと、さらにインスリンが分泌され・・・、
がんを促進したり、老化を早めたりと・・・、いろいろとやっかいなことになり、健康寿命を縮めることになります。

そんな『インスリン抵抗性』ですが、血液検査項目の1つ『インスリン抵抗性指数(HOMA-R)』で、簡単に知ることができます。

インスリン抵抗性数式


基準値(正常値)

インスリン抵抗性指数(HOMA-R)<1.6
空腹時血糖値(FBS)<100mg/dL
インスリン値(IRI) <2~10μU/mL

ちなみに『インスリン抵抗性』を低くする(改善する)方法は、
ずばり・・・糖質制限食(ケトン食)です。

詳しくはeクリニックまで・・・。

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文責: 岡本 裕

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クジラを動かすオキアミのちから(クリルオイル)

クジラはその巨体に似合わず、小さなオキアミ(※)が大好物で巨大な口を開けて、大量の海水ごとオキアミを丸呑みにする。小さなオキアミはクジラを巨大化させるほどの高タンパク、高栄養素を含有します。
※海中を浮遊生活するエビ形の甲殻類。ヒゲクジラ類の天然餌料として重要なプランクトンの一つ。

クジラ

更に、南極で採れるオキアミは、オキアミの中でも南極海の冷たい澄んだ水に生息する種で、汚染されていない海域で採れるとてもクリーンな素材で、オキアミから抽出された脂質はリン脂質結合型(水溶性)オメガ3脂質酸(クリルオイル)です。

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リン脂質型のオメガ3系脂肪酸は、水溶性の細胞質に近い構造を持ち、体内に吸収されやすい特長があり魚油に比べて遥かに効率が良いオメガ3として注目を浴びています。

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『HDLコレステロール』値を高めると得をするって知っていますか?

4. 『HDLコレステロール』値を高めると得をするって知っていますか?

HDLコレステロール値は意識すれば増やすことができるんです。

前回、HDLコレステロールの値が高いほど動脈硬化になりにくく、したがっていろんな病気にもならずに元気で長生きできる確率が高いとお話をしましたが、実はこのHDLコレステロールは増やすことができるんです。
今回は健康長寿の1つの指標になるHDLコレステロール値の高め方をお教えしましょう。

HDLコレステロール値を増やす方法は次にあげる4つです。

 まず1844286つ目は、運動です。
この方法は有名ですのでみなさんもよくご存知だと思います。

運動すればするほどHDLコレステロール値は上昇します。・・・逆にHDLコレステロール値が低い人は運動不足だということが言えます。

動脈硬化を極力少なくしたいと望むなら、少なくともHDLコレステロール値40mg/dl以上になるよう、そんな運動習慣を身につける必要があります。

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2つ目は、食事です。
結論から云うとケトン食がいいんです。というのは、ケトン体(βヒドロキシ酪酸)の血中濃度がある程度高くなると(0.7mM程度)、HDLコレステロールが増えることがわかっているからです。

ケトン体は、ケトン食を実践すれば(糖質を1日に50-100g以下)、簡単に血中に出てきますし、ケトン食には他にもいろいろ健康度を高める効果があるますので、やってみる価値はあると思います。


suppliment_vitamin3つ目も食事ですが、それはビタミンB3(ナイアシン)を摂ることです・・・
(実際にはマルチビタミンを摂ることになりますが)。

ベースサプリを摂りビタミンB3をしっかり確保すればHDLコレステロール値の上昇が期待できます。


img197-064つ目は、腸内環境を整えることです。
これは最近の知見ですが、腸内環境が整っていると、食物繊維が腸内細菌で発酵されて短鎖脂肪酸の酪酸が産生され、この酪酸が(おそらくHDLを高めることによって・・・このあたりはまだよくわかっていない部分もありますが)動脈硬化を防いでいると考えられています。

腸内環境と動脈硬化・・・、一見関係が無さそうに思われますが、実は深い関係にあることがわかってきたのです。

よく耳にする「コレステロール」ですが
HDLコレステロール・・・善玉コレステロールと
LDLコレステロール・・・悪玉コレステロールとあり、全く異なります。

健康長寿の1つの指標になるHDLコレステロールを日々の習慣から高めていきましょう。

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文責: 岡本 裕

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油断大敵!!その油・・いいもの?悪いもの?(2)

先回は飽和脂肪酸の話でしたが今回は不飽和脂肪酸について。不飽和脂肪酸は、「一価不飽和脂肪酸(オメガ9)※1」と「多価不飽和脂肪酸(オメガ6、3)※2.3」に分けられ、体内で合成されない多価不飽和脂肪酸は『必須脂肪酸』として食事から摂る必要性があります。

脂肪酸

オメガ9は、酸化しにくく熱にも強いので適度に加熱料理に利用するのがお薦めです。オメガ6は、オメガ3とともに必須脂肪酸で酸化しやすく、摂り過ぎるとアレルギーや生活習慣病リスクを高めます。

逆にオメガ3は積極的に摂取することでアレルギーの改善や動脈硬化の予防、脳の活性化、炎症を抑える効果などが期待されます。

オメガ3は積極的に、オメガ9と中鎖脂肪酸は適度に、オメガ6と長鎖脂肪酸は控えめに。

※1 「オレイン酸」:オリーブ油、なたね油
※2 「リノール酸」:大豆油、コーン油、紅花油(高リノール酸)など
※3 「DHA、EPA、αリノレン酸」:クリルオイル、魚油、亜麻仁油など

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『HDLコレステロール』で何が分かるか知っていますか?

3. 『HDLコレステロール』で何が分かるか知っていますか?

あなたの動脈硬化の程度を知ることができます。

HDLコレステロールはいわゆる善玉コレステロール・・・
正確にはHDL(High Density Lipoprotein:高比重リポタンパク)に含まれるコレステロールのことです。

みなさんよくご存知の悪玉コレステロールLDLコレステロールと呼び・・・
LDL(Low Density Lipoprotein:低比重リポタンパク)に含まれるコレステロールを指し、このLDLが動脈壁にコレステロールを沈着させて動脈硬化を促進させます。

いっぽうのHDLは血管壁に沈着したコレステロールを除去して動脈硬化を改善してくれるんです。

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つまりHDLコレステロールの値は、
・動脈硬化のなりやすさ 
・動脈硬化になっている度合い
を、あなたに教えてくれているのです。

もちろんHDLコレステロールが高いほど動脈硬化になりにくく、きっと現在の動脈硬化の程度も少ないと推測できますので、心筋梗塞や脳梗塞はもちろん、認知症やがんにもなりにくいと言えます・・・ひいては元気で長生きができる確率が高くなるということになります。

ちなみに、HDLコレステロールの基準値は
HDL > 40mg/dl
ですが、より高いほうがより望ましいと云えるかもしれません。

事実、HDLコレステロール値が高いほど狭心症や心筋梗塞などの心臓病の発症率が低く、寿命も延びると報告されています。さらにHDLコレステロール値が高いほど、がん(乳がん、肺がん、前立腺がんなど)の発生率が低下することが報告されています。

次回は、HDLコレステロール値を・・・善玉コレステロールを増やすポイントについてお話します。

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文責: 岡本 裕

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油断大敵!!その油・・いいもの?悪いもの?(1)

「脂質(油)」はヒトにとって必要な栄養素の一つです。そして栄養素と同じように、油もそのバランスが大切なのです。

脂肪酸

油は、脂肪酸として幾つかに分類されており。
常温で固まるものを『飽和脂肪酸』、固まらないものを『不飽和脂肪酸』に分けられます。飽和脂肪酸は、炭素の結合量で短鎖、中鎖、長鎖脂肪酸に分けられ、短鎖脂肪酸の多くは腸内細菌により酪酸、酢酸などとして産生されます。

中鎖脂肪酸(MCTオイル)は、優れた消化吸収能力を持ち、過剰脂質になる心配がなく、エネルギー源としても活用できます。控えたいのは体内で固まりやすい長鎖脂肪酸で動脈硬化や高脂血症などの生活習慣病の一因になります。(つづく)

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CRP(シー・アール・ピー)、って聞いたことありますか?

2. CRP(シー・アール・ピー)、って聞いたことありますか?

CRPC-リアクティブ・プロテインの略で、体内で炎症(トラブル)が起きている時に血液の中で増えるタンパク質なんです。
健診や人間ドックの血液検査に必ず入っている項目なので、なじみがあるかもしれませんが、このCRPの変化をみていくと、あなたの健康寿命を占うことが可能なのです。

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ちなみにCRPの基準値は一般的には
CRP < 0.3mg/dl以下 とされていますが
できれば・・・限りなくゼロに近いほうが望ましいです

 

風邪をひいたりすると一時的にCRP値は高くなりますが・・・、風邪ひきが治まるとすぐにCRP値はもとに戻ります(これは急性炎症ともいいます・・・たいしたことはありません)。

しかし、風邪をひいたりしていないので、ずっとCRPが高いことがあります。これが大問題なのです。

なぜなら、慢性的に、しかも、進行性に、体の中で何らかのトラブルが発生し続けているからなのです(これは慢性炎症といいます)。たとえば、動脈硬化、肥満、糖尿病、がん、認知症、老化・・・などが静かに、しかし急速に進行している可能性が高いわけで、そのまま放っておくと、近いうちに病気になって、健康寿命を大きく縮めることにもなりかねません。

 ぜひCRP定期的にチェック!・・・変化をみていきましょう


CRPが基準値内なら、ひとまずOK
CRPがすでに基準値を超えているなら直ちに・・・的を射た検診を
少しずつ増えているようなら直ちに・・・生活習慣の見直しを

 CRP値が低いほど健康寿命が長いことも最近よくわかってきました。

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文責: 岡本 裕

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